独立行政法人国立病院機構 刀根山病院

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医療関係者の方へ

神経内科

診療の特色

刀根山病院神経内科は大阪府下最大規模のスタッフ、病床数を有し、北大阪地域のみならず近隣府県の中核的な施設であり、日本神経学会の教育施設です。
筋ジストロフィー、神経変性疾患(パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症など)、多発性硬化症、重症筋無力症、スモンなどの神経筋難病をはじめ、広範囲の神経筋疾患を「初期診断から終末期まで」マネージメントできる診療を行っています。睡眠医療、認知症、神経病理学を含め、各分野のエキスパートがそろっており、臨床研究の推進、医師主導治験にも力を注いでいます。
さらに、神経筋疾患のすべてのフェーズにわたって地域で暮らすことが可能な在宅医療を推進すべく、ネットワークの形成、維持、発展を図っています。

パーキンソン病

―初期診断から進行期の在宅療養まで―当院におけるパーキンソン病に対する取り組み

パーキンソン病への取り組み

当院は神経難病の専門病院としてパーキンソン病/パーキンソン症候群の初期診断から進行期の在宅療養までトータルに診療します。

発症・診断期

原則2週間程度の入院で画像検査、合併症検査、リハビリテーションでの機能評価、ホームプログラム指導を行います。

<当院で実施可能な検査>

脳MRI、MIBG心筋シンチ、DATスキャン(ドパミントランスポーターシンチグラフィ)、head-up- tilt試験(自律神経障害評価)、嚥下造影検査、指タップ運動計測、筋トーヌス筋電計

軽症期

パーキンソン病教育入院にてリハビリテーション、日常生活の注意点、食事・栄養指導などを行います。 また、パーキンソン病に特化したリハビリプログラムであるLSVT○RBigを積極的にすすめています。適応患者さんは4週間の入院プログラムで集中的なリハビリを行います。

運動療法プログラム

内服薬著効期(ハネムーン期)

発症から5年前後の間は、内服薬も著効し日常生活で大きな障害はみられません。このような時期でも引き続き強化リハビリをすすめ、睡眠リズム、腸管機能検査などを実施し日常生活の改善を指導します。

治療合併症期

発症から5~10年経過すると、内服薬の効きが悪くなり、ウエアリングオフ、ジスキネジア、薬の増量による副作用(不眠、精神症状など)が問題となってきます。

【高照度光療法】

当院が独自に取り組んでいる治療で、パーキンソン病患者さんの非運動症状(不眠、夜間頻尿、うつ症状など)に対して効果があることが分かってきました。一部の患者さんにはお薬の効果がよくなったり、内服薬を減量できたりするなど運動症状への効果もみられています。当院ではこれまで150人を超える患者さんが光療法の臨床研究に参加され、約7割が治療を継続しています。

高照度光療法

【睡眠評価および治療】

パーキンソン病患者さんには睡眠障害を多く合併します。夜間頻尿、むずむず足症候群などに加えて睡眠に関連した呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)もきたしやすいことがわかってきました。当院ではパーキンソン病患者さんの睡眠時の呼吸状態を終夜睡眠ポリグラフ検査で詳細に評価し、CPAPやマウスピースなどによる治療を行っています。睡眠の改善により運動機能の改善を期待できる可能性があります。

標準的な睡眠ポリグラフ

【腸管機能検査および食事・栄養指導】

ピロリ菌感染、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)、腸管壁浸漏症候群(leaky gut syndrome)などがパーキンソン病の病態に関与していることが示唆されています。当院では臨床研究として上記の腸管機能検査を実施し、除菌治療、食事・栄養指導などで介入していきます。

小腸内細菌異常増殖症について

腸管壁浸漏症候群

進行期・在宅療養期

進行期で通院が困難となってきた場合には地域の往診医の先生と連携して診療を行います。誤嚥性肺炎などの合併症で入院加療が必要になった場合には対応します。嚥下障害の進行により経管栄養の適応となった場合には、提携病院にて胃瘻造設・当院にて在宅指導を行います。また必要に応じてレスパイト入院、施設入所や療養型病院への転院の調整をします。

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筋ジストロフィー

筋ジストロフィー外来

国立病院機構刀根山病院では、毎週火曜日と木曜日の午後に筋ジストロフィー専門外来を行っています。  
対象としている疾患は、全ての筋ジストロフィー(デュシェンヌ型、ベッカー型、福山型、顔面肩甲上腕型、肢帯型、筋強直性ジストロフィーなど)に加え、(先天性)ミオパチー、脊髄性筋萎縮症など多くの神経筋疾患です。  
筋ジストロフィーの専門医療機関は少ないため、大阪府全域のほか兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県など近畿一円の広い地域から、たくさんの患者様が受診されています。受診される患者様の年齢層は、乳児期から成人までと幅広く、神経内科医、小児神経科医が全員で診察しています。

筋ジストロフィー

筋ジストロフィーというと、治療法が無く医療効果が乏しい病気というイメージを持たれている方が多いです。
が、実際には医療の恩恵が最も大きい疾患の一つです。呼吸管理、心筋保護治療などの集学的治療により生命予後が大きく改善し、ステロイド治療やリハビリテーションは変形・拘縮予防や機能維持・生活レベルの改善に効果を挙げています。医療職だけで無く、児童指導員や臨床心理士、栄養士、歯科など多職種による支援、教育機関や患者会との連携で、患者様の活動範囲と生活質が向上するようサポートしています。

様々な医療課題筋ジストロフィーでは、経過中に様々な医療課題が出現します。これらに対し予見的かつ多角的にアプローチすることが重要です。筋ジストロフィーで実施される主な治療には、ステロイドや呼吸管理、心筋障害治療などの合併症管理、整形外科的治療などがありますが、適切な時期から説明を受け、患者様・御家族の選択の下にタイミングを見計らって導入する必要があります。効果的なリハビリテーションには、変形出現前からの関節可動域訓練、呼吸機能低下前からの呼吸理学療法の導入、適切な装具・自助具の処方、シーティングなどが重要です。体重管理や食育、嚥下機能に合わせた嚥下訓練、食形態の工夫、栄養管理や口腔ケアも大切です。心理支援、遺伝カウンセリング、教育・子育て支援、介護者の健康管理も重要な課題です。筋ジストロフィー外来では、定期的な検査により、身体状況や各種機能の評価を行うほか、日常生活指導、ステロイド治療、呼吸管理・心筋保護治療などの合併症治療に加え、リハビリテーションなど集学的な診療を行います。整形外科的治療では、当院整形外科と専門施設で連携して対応しています。必要に応じ、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、臨床心理士によるカウンセリング、指導員による子育て・福祉相談、支援学校による教育相談、看護外来での在宅療養指導、栄養管理室による栄養指導、患者会などを通じたピアサポートなどにも対応しています。また、火曜日の午後は歯科外来での歯科学的問題のチェックも行っています。このように、あらゆる課題に多職種が連携して対応できることが専門医療機関の強みです。

歩行能力維持効果

患者様の中には、症状が軽い時期は専門医療機関を受診する必要が無い・したくないと考える方もおられます。しかし、機能維持や変形を予防するための訓練は早期からの導入が重要です。特に、小児期発症の筋ジストロフィーでは、病初期からのリハビリテーションが必須です。関節可動域維持訓練は変形・拘縮予防だけでなく、歩行可能期間の維持効果もあります。呼吸理学療法は、呼吸器感染の予防や、柔らかい肺を維持するために必須で、生命予後や生活の質に直結する重要なものです。当院では、ホームプログラムの指導に力を入れており、家庭や教育機関とも連携して継続的な訓練維持に努めています。

神経筋疾患では、進行に伴い呼吸管理や栄養管理、心不全治療を必要とする患者様が多数おられます。当院は神経筋疾患の呼吸管理のパイオニア的存在で、非侵襲的人工呼吸療法の積極的導入と在宅療養支援により、現在250名を越える患者様が人工呼吸療法を行いながら在宅で過ごしておられます。これらの患者様の中には、旅行や障害者スポーツ、文化活動を楽しまれている方もおられ、呼吸器を装着しても活動的な生活が可能な時代になっています。心不全に対する心筋保護治療や、脊柱外科専門施設と連携した脊柱変形に対する外科治療も積極的に行っており、本邦の筋ジストロフィー医療をリードしています。

神経筋難病は、患者様の少ない稀少疾患がほとんどです。稀少疾患の医療が進歩するためには、臨床データの集積と患者様の臨床研究への協力が不可欠です。専門医療機関の受診は、質の高い医療を受けることだけでなく、データの集積を通じて医療レベルの向上に寄与する効果もあります。当院では、様々な医療機関・研究機関との協力や、研究班活動を通じて臨床研究にも積極的に取り組みエビデンスの構築に努めています。一部の疾患では、新規治療の開発が臨床段階を迎えており、治験推進のための国際協調的な患者登録や臨床試験ネットワークが整備されつつあり、標準的医療の普及を目指したガイドラインの作成も進められています。当院は、これらにおいても中心的な役割を果たしており、患者様と協力してこの領域の医療の進歩に貢献していきたいと努力しています。このため、受診されている患者様に、臨床研究や調査についてお願いをすることがあります。稀少疾患の医療向上は、患者様の協力無くしてはあり得ません。研究の主旨に賛同いただける場合は積極的にご参加いただきますようお願いします。

当院の受診を希望される患者さんには、現在かかりつけの医療機関がある場合は、地域医療連絡室を通じて、主治医の先生からの紹介をお願いしておりますが、紹介状等の準備が難しい場合は、毎週火曜日あるいは木曜日の午後の外来窓口に直接おいでください。

>>Remdyについて

筋強直性ジストロフィーのスクリーニング法(医療者向け)

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小児神経内科

小児神経内科では、小児神経専門医、神経内科専門医が、筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症などの小児期発症神経筋疾患、その類縁疾患の乳幼児を含む小児患者さんを診察しています。近隣の大学病院、総合病院などの小児科と連携して診療に当たっています。
小児期から成人期に至る全年齢層の患者さんを継続的に診察し、呼吸や循環の状態を中心に全身状態の定期的評価、リハビリテーション介入を行っているのは、一般の神経内科にはない当院神経内科の大きな特徴です。
遺伝子検査を希望される患者さんご家族には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行い、遺伝子検査施行施設に依頼の上、遺伝子検査を行っています。
また、当施設は、筋ジストロフィーや脊髄性筋萎縮症などの研究班の分担研究施設をつとめており、疾患病態解明や介入研究などの多くの臨床研究を行っています。それに加えて、新規治療薬、医療機器の医師主導治験や企業治験も積極的に行っています。
患者さんは、大阪府全域のほか兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県と近畿全域からこられますが、中には中部、関東、九州地方など遠方から来院される方もおられます。

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認知症

当院のもの忘れ専門外来の特徴

認知症の専門外来の大切な使命の一つは、軽度認知障害あるいは認知症における早期診断とそれに基づく治療介入を開始することです。当院では、地域の医療機関の先生方と連携を取りながら、認知症の患者様を継続的にフォローする体制をとっています。
もう一つの特徴は、アルツハイマー病以外の認知症疾患を数多く診断していることです。もの忘れを訴える患者さまの歩行障害、固縮などの錐体外路症状、錘体路症状、小脳症状、失語、失行などのわずかな神経徴候から、様々な神経変性疾患の診断に至る場合があります。

当院の過去3年間のもの忘れ外来初診患者

317人(平均年齢 77歳)

疾患別患者割合
注* 正常圧水頭症、大脳皮質基底核変性症、進行性格上性麻痺、薬剤性、外傷性、 Wernicke-Korsakoff 症候群、高アンモニア血症を含む

初診外来

診察は1時間となっています

  • 病歴聴取
  • 神経学的診察
  • 画像検査 (MRIなど)
  • 血液検査 (感染症、甲状腺ホルモン、ビタミンB1,B12など)
  • 神経心理検査 (MMSE, ADAS, WMS-Rなど)

その他必要に応じ画像・血液・生理検査を追加

受診のお申し込み方法

地域ネットワークセンターにお問い合わせください。

もの忘れ検査入院

外来での検査が困難な患者さまについては、ご相談の上、短期入院での検査を実施しております

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神経病理

神経病理とは

当院神経内科では神経病理学的診断にも重きを置いて活動しています。当院では、診断目的の神経生検および筋生検のほか、死後の剖検診断まで一貫して院内で施行しています、各種画像診断、臨床検査が発達した現代医学においても、病理学的診断の重要性は議論の余地がありません。そして、神経内科分野においてはその重要性はことさら強調されてよいと考えています。
一例を挙げてみましょう。神経内科で扱う疾患の一つに、大脳皮質基底核変性症という疾患があります。この疾患は、パーキンソン病や認知症といった日常診療で遭遇する疾患群の鑑別疾患として、神経内科臨床に携わる上でしばしば挙げられる疾患です。一方で、この疾患を臨床的に診断することは、きわめて難しいことが明らかになっています。
Boeveの報告では、大脳皮質基底核変性症と診断された32例のうち、病理学的に大脳皮質基底核変性症と診断されたのは56.2%、進行性核上性麻痺は18.7%、アルツハイマー病とクロイツフェルト・ヤコブ病は9.4%でした。Lee の報告では、臨床的に大脳皮質基底核変性症と診断された40例の病理学的診断としては、多い順に大脳皮質基底核変性症35%、アルツハイマー病 22.5%、進行性核上性麻痺12.5%、前頭側頭葉型認知症(FTLD-TDP)12.5%であったとしています。報告により多少の差異はあるものの、大脳皮質基底核変性症の病理学的診断としては、大脳皮質基底核変性症はおよそ半数以下で、これに進行性核上性麻痺やアルツハイマー病、さらにその他の疾患が含まれてくると考えられます。これは一例にすぎませんが、神経内科診療における病理診断の重要性は理解していただけると思います。
正しい診断はすべての診療、予後説明に必要なものであり、そして臨床研究の基礎となるものです。当院における臨床症状のきめ細かい観察と、剖検神経病理診断の積み重ねが将来の神経内科臨床レベルの向上および研究の礎となると考えています。

リサーチリソースネットワーク

当院神経内科では、神経難病にて無念にも亡くなられた患者様の篤志に応えるべく、2007年よりブレインバンクネットワークであるリサーチリソースネットワーク(以下RRNと略)に参加しています。RRNは、研究使用の同意を得た剖検凍結脳をデータベースに登録し、各研究施設に提供する、全国規模のネットワークシステムです。神経疾患の研究・病態解明のためには、ブレインバンクが必須であることから、1997年に国立精神・神経医療研究センターで組織されました。

院内生検
院外生検診断依頼
院内剖検
院外脳病理診断依頼
2012
15
8
2013
21
9
2014
15
11

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