独立行政法人国立病院機構 刀根山病院

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リウマチ外来

当科における関節リウマチ治療の特長

3名の経験豊富なリウマチ専門医資格をもつ医師とリウマチ専門ナースの資格を持った外来看護師がチームで対応します
リウマチ治療は年々新しい治療薬・治療方法・科学的事実が出現しており、頻繁に学会や研究会に出席していないと対応できません。我々は常に新しい事実を学び、世界中で発表された信頼できる薬や治療方法を吸収し、日常診療に還元したいと考えております。
また診療で得られた事実をまとめて学会に頻繁に報告することによって世界のリウマチ治療に貢献したいと考えています。
優れた外来診療システム
当院では基本的に再診は予約制です。リウマチ患者様の場合は診察前30分から1時間前に来院していただき、血液・尿検査を受けたいただいた後結果が出次第医師からアナウンスがあり、診察室に入室していただきます。外注検査以外はその日のうちに結果の説明を受けることができます。
医師が適切な診療を行うことは当たり前ですが、現在のリウマチ診療は医師だけでなく看護師、薬剤師、理学療法士や医療ソーシャルワーカーなど多職種の連携によるチームで患者様を支えることが重要となっています。当院では定期的な勉強会でスタッフの知識の向上を図り、また日本リウマチ財団登録リウマチケアナースの資格を持つ看護師はじめ、スタッフ一同、皆様のご相談等に細やかに対応できるよう心がけております。
また、診察前にリウマチノートというシステムで問診を行っていただきます。タブレット上に痛みの程度・圧痛腫脹部位を示していただきますが、患者様のリウマチ活動性の推移を把握するのに非常に重要で、医師は治療効果判定の判断材料にしています。
呼吸器内科のバックアップ
現在のリウマチ診療は、リウマチそのもの、もしくは薬物療法によって発症する可能性が高い呼吸器疾患のエキスパートによる強力なサポートが不可欠となっております。
当院では経験豊富な呼吸器疾患専門医が数多く在籍しておりますので、より安全にリウマチ治療を行うことができます。また他院では治療困難な症例でもより積極的な治療が可能となります。
リウマチに対する手術の豊富な経験があります。
関節リウマチによって障害されたために手術が必要になった場合、適切な手術を提案いたします(後述)。頸椎不安定性に対する手術や手指の腱断裂など一部の症例については近隣の施設に連携致します。
関節リウマチ治療の最新の未承認治療(治験)に参加できることがあります
当科では『治験』や『臨床研究』を委託されて行っております。新しい薬を開発する場合は、本当に効くのか、重大な副作用はないか、ということについてまず動物実験で調べた後、実際の患者様で、どのような効果・副作用が生じるのかを確かめる必要があります。一般に、薬の効果や安全性などを健康な人や患者様で調べることを「臨床試験」と呼んでいます。一方、新しい薬が私たちの手元に届く前には、必ず国(厚生労働省)による承認が必要となります。その承認をとるために行われる臨床試験をとくに「治験」と呼んでいます。
治験ではまだ日本では市販されていない研究段階の薬剤(多くは海外での治療実績がある)の処方を無料で受けられる可能性があります。しかも検査・薬剤・診察にかかった費用が免除になったり、有害事象が生じたときはメーカーによる補償が受けられたり、参加するのに参加報酬を受け取ることができるなどのメリットがあります。しかしそのためには治験の種類によって異なりますが厳密な参加基準があり、厳密に定められたルールに沿って治療を受けていただかなくてはならない事、その薬剤はまだ日本において効果・副作用発現頻度が十分わかっていない事、プラセボといって偽薬群に振り分けられるとある一定期間新薬による治療を受けることができない場合がある事、治療中いつでも治験の参加を辞退できる事などを十分理解していただく必要があります。当院には選任の治験担当スタッフがおりますので、十分な説明をさせていただいたうえご意向を確認しております。
またよりよい関節リウマチの治療法を確立するため、当科では多数の臨床研究に携わっておりますが、その一つとして国立病院機構病院や大学病院を中心とした厚生労働省の支援を得た全国規模の関節リウマチデータベース構築(National Database of Rheumatic Diseases by iR-net in Japan)に参加しています。現在全国の約40施設が参加しており、我が国における関節リウマチの現状・問題点を明らかにし高く評価されております。治療内容・治療効果・合併症などに関する情報が対象となりますが、匿名化しプライバシー保護に十分留意しておりますのでご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
リウマチ教育入院について
関節リウマチ治療はその疾患について理解を深めることが治療の第一歩です。薬物治療、理学療法、手術療法や検査の内容等につき時間をかけてご説明するとともに、必要な検査をスムーズにおこなうリウマチ教育入院を行っております。

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関節リウマチと地域連携

関節リウマチの診断を受けるとき、まず近くの病院・医院・クリニックを受診されるケースが多いと思います。そこで医師が専門外であったり、その後診断・治療法に迷う場合や生物学的製剤導入目的であったり、重大な合併症がある場合、当院へ紹介していただくことがあります。その後治療経過が安定すれば患者様が希望すれば定期的な通院は近くの病院へ戻っていただいて、何か問題が生じた場合に当院で治療を再開させていただくというケースも多々認められます。

北摂地域を中心とした近隣医療施設との連携を深めてゆき、患者様に最もメリットの多い治療方法を組織的に柔軟に進めてゆきたいと考えております。以上のようなことが評価され大阪北部の豊能地区では当院のみが日本リウマチ学会認定教育施設となっております。(2017.5現在)

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当科を受診される場合に

リウマチ疾患に関して、初めて当科を受診される場合は、毎週木曜日午前9時から11時におこしください。既に医療機関にて治療を受けておられる方は主治医の先生とご相談の上、当院地域ネットワークセンター(電話:06-6853-2001 直通FAX: 06-6844-8778)を通し予約を取られることをお勧めします。

患者さんをご紹介いただく先生方には、関節リウマチ専用の紹介フォームをご用意しておりますので、地域ネットワークセンターにご連絡いただければ郵送いたします。また、ダウンロード(PDFファイル)することも可能です。関節リウマチは早期診断、早期治療が重要とされています。関節症状で気になることがございましたら、お気軽にお越しください。

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関節リウマチはどんな病気か

関節リウマチは関節を構成している滑膜組織に炎症が起こり、痛み・腫脹が生じます。炎症性サイトカインが誘導されると骨・軟骨の破壊が起こり、徐々に関節痛・可動域制限や関節の変形が生じ、徐々に日常生活が困難となってきます。関節リウマチの頻度は世界的に見て人口の0.5%~1.0%(平均0.8%)といわれ、性別では男性に比べて明らかに女性に多く認められています(男性の3~4倍)。発病年齢は、多くは20歳~60歳代で、30~50歳代での発症が多くなっていますが高齢発症のケースも認められます。最近ではリウマチ発症早期のほうが薬剤の効果が得られやすく、また治療により寛解へ導く可能性が高くなるということが明らかになっており、できるだけ早期から適切な治療を開始することが重要です。

 

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関節リウマチの原因

リウマチがなぜ起きるのか、はっきりした原因はよくわかっていません。しかし、この病気のベースには免疫の異常が関わっていることは明らかになっています。また、細菌・ウィルス感染、ストレス、喫煙なども関与するといわれており、親族での家族歴が多い事、一卵性双生児での一致率も15%程度であることから遺伝的な要素も関与していると言われています。

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関節リウマチの診断基準

関節リウマチの診断は様々な基準が用いられてきましたが、現在最も新しい分類基準として2010年に発表されたアメリカ/ヨーロッパリウマチ学会の分類基準を用いることが多くなっています。この基準の導入により、より早期の関節リウマチを診断できるようになったと言えます。リウマチ因子が陽性であっても全く症状がなければ関節リウマチと診断されませんし、これらの分類基準に適合しなくても、リウマチ因子が陰性でCRPが陰性であっても関節リウマチが強く疑われ、治療が必要な患者様がいますので、特にそのような事例は専門医にご相談されることをお勧めします。

アメリカ&欧州リウマチ学会発表の関節リウマチ診断の新基準

分類基準(カテゴリーA~Dの合計で6/10以上なら関節リウマチ確定と診断

A 関節病変
中関節・大関節に1つ以上腫脹や疼痛関節がある 0点
中関節・大関節に2~10個の腫脹か疼痛関節がある 1点
小関節に1~3個の腫脹か疼痛関節がある 2点
小関節に4~10個の腫脹か疼痛関節がある 3点
最低でも1つ以上の小関節領域に10個を越える腫脹または疼痛関節がある 4点
B 血清学的因子
リウマチ因子(RF)、抗CCP抗体(ACPA)ともに陰性 0点
リウマチ因子(RF)、抗CCP抗体(ACPA)のうち最低でも1つが陽性で低力価 1点
リウマチ因子(RF)、抗CCP抗体(ACPA)のうち最低でも1つが陽性で高力価 2点
C 滑膜炎持続期間
6週間未満 0点
6週間以上 1点
D 炎症マーカー
C反応性蛋白(CRP)と赤血球沈降速度(ESR)が両方とも正常である 0点
C反応性蛋白(CRP)と赤血球沈降速度(ESR)のどちらかが異常である 1点

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関節リウマチと検査

関節リウマチと診断されたら治療を開始します。この項では診断・治療効果・副作用の発現を評価するためにリウマチ患者様が定期的に行っている検査について説明したいと思います。

検査の種類

血液検査・尿検査
薬物治療による外来フォローの場合、治療の効果や副作用をみるために1~3か月程度の定期的な外来受診と血液検査を行います。リウマチの活動性を評価するとともに、薬による副作用が生じていないかを評価します。
検査値の見かた
目 的 検査値 検査値の意味
炎症反応 CRP、ESR(赤沈) 現在の関節リウマチの活動性を測る指標になります。
貧血 RBC、Ht、Hb 貧血の程度を調べるために行います。リウマチに罹患すると貧血傾向になり、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット(Ht)、ヘモグロビン(Hb)が低下します。
肝機能 GOT、GPT、γ-GTP 薬の副作用や他の病気の合併などを調べるために行います。肝臓が障害を受けると、GOT (AST)やGPT (ALT) の値が高くなります。
腎機能 BUN、Creシスタチン 薬の副作用や他の病気の合併を調べるために行います。血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン値、シスタチンC値の増加は、腎機能の低下を意味します。
免疫反応 MMP-3 関節炎の程度を反映します。
免疫反応 RF、抗CCP抗体 リウマチの診断や予後判定の指標になります。リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体が高値の場合予後不良の可能性があります。
尿検査 潜血・蛋白・沈渣 薬の副作用や他の病気の合併などを調べるために行います。尿の検査では蛋白や糖が出ていないか、白血球や赤血球が尿中に含まれていないかを調べます。
レントゲン検査
関節リウマチは、治療が十分でないと、関節を中心に炎症が持続し不可逆的な関節破壊を来たし日常生活に支障を来すことになります。リウマチ診療の目的の一つは、関節破壊の進行を抑制し、患者の皆様の日常生活の質を将来にわたって維持することです。従いまして関節リウマチの診断および経過の観察に、レントゲン検査は非常に重要です。まず、関節リウマチを疑った際には、症状のある部位を中心にレントゲンを撮影して評価する必要がありますが、時に症状のない部位(例えば足の指)にも早期に 骨の変化(骨びらんは骨破壊・関越裂隙の狭小化は軟骨の変性や破壊を意味します)を認めることを知っておく必要があります。初診時には特に手指と足趾のレントゲンを撮ることをお勧めします。またCRP等の炎症反応が正常値であったり、見かけ上の関節の腫れがなくても画像上の関節変性が進行することがありますので、定期的な観察が必要です。
関節超音波検査
比較的安価に放射線の被曝なく活動性のある関節炎を正確に簡便に評価することができます。以前は行われている施設は非常に少なかったのですが、最近は学会でもその重要性が認められ、多くの専門施設で導入されるようになりました。リウマチ患者様において、一見腫脹がないように見える関節であっても超音波で滑膜炎が認められる場合、その関節は今後関節破壊が進行してゆく可能性があります。従って寛解状態にあるようにみえても、関節破壊予防のためにはさらに強力な治療が必要である可能性があります。一方、関節腫脹があるように見えても超音波で滑膜炎が認められない場合は関節リウマチの活動性が低下している可能性があります。当院では診断・治療効果判定のために関節超音波検査を必要に応じて随時行っています。
骨密度検査(DXA法)
リウマチに罹患した場合、またはステロイドを長期間服用すると骨密度・骨質の低下を生じ、骨強度の低下につながります。骨粗鬆症の診断と薬剤投与による治療効果の評価のためにはDXA法が最も鋭敏で全身状態を反映させることのできる検査です。特に高齢であったりステロイド治療を受けておられるリウマチ患者様は定期的な骨密度検査による評価が必要です。

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関節リウマチの治療

関節リウマチの治療の最大の目的は骨・軟骨破壊を極力抑制し、関節機能、生活動作を維持し、さらには生命予後を改善することつまり健康で長生きすることです。関節リウマチの治療は主に薬物療法・手術療法・運動療法があります。ここ数年飛躍的な進歩を遂げており、特に薬物療法については目覚ましいものがあります。これらの治療方法について説明します。

薬物療法

副腎皮質ホルモン(ステロイド)
ステロイドは少量で強力な抗炎症作用を有します。関節リウマチに罹患して炎症が強い場合にも即効性があり、劇的に改善する場合がありますが、単独投与は後述するDMARDに比べて骨破壊抑制効果に乏しく長期使用により消化性潰瘍・糖代謝異常・免疫力の低下による感染・骨粗鬆症・白内障など様々な副作用を生じることがあります。急激な中止は副腎不全を生じることがあり、ステロイドを中止する場合には漸減する必要があります。
非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)
疼痛・炎症・発熱に効果のある比較的即効性の高い薬剤です。基本的には関節リウマチの活動性には影響を与えません。長期投与により胃潰瘍・消化管出血の原因となることがあります。しかもその多くが症状を自覚することなく進行している事が多いので注意が必要です。最近はCOX-2選択的阻害薬(セレコックス、モービック、ハイペンなど)を使用することにより消化性潰瘍の発生頻度が抑えられる可能性が報告されていますが、いずれにしても長期投与には慎重であるべきです。また、腎機能を悪化させることもあり、特に腎不全の患者様は注意が必要です。これらの既往歴がある方にはアセトアミノフェン(カロナールなど)が比較的安全です。
抗リウマチ薬(DMARD)
抗リウマチ薬は疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti-rheumatic drugs:DMARDs)ともよばれ,炎症自体を抑える作用はもたないが関節リウマチの免疫異常を修飾することによって,関節リウマチの活動性をコントロールすることのできる薬剤です。効果のある人(レスポンダー)とそうでない人(ノンレスポンダー)があること、効果発現が遅い事(多くは最大効果発現までに2~3か月を要する)、だんだん効かなくなってくることがある(エスケープ現象)ことがこの薬剤の特徴です。抗リウマチ薬は用量依存的であることが多いですが、副作用発現率が高く,どの抗リウマチ薬でも有害事象は20~50%とされます。最も多い副作用は消化器症状と皮疹で,軽度ならば対症療法により治療を継続できる場合も多いです。しかしなかには血液障害,腎障害,間質性肺炎などの生命にかかわる重篤な副作用も少なくありません。
一般に副作用発現率は用量に依存し,腎機能障害や肝機能障害のみられる患者様,および高齢者では薬剤の蓄積が起こりやすいため,慎重に投与します。そのなかでもMTX(メソトレキサート:商品名リウマトレックス、メトレート)は高い有効性、継続率と優れた骨破壊進行抑制効果、QOL(生活の質)改善効果に加え、生命予後の改善や心筋梗塞の発症率減少効果を兼ね備えた抗リウマチ薬です。その長期にわたる有効性と安全性、他の抗リウマチ薬や生物学的製剤との併用における有用性から関節リウマチ治療のアンカードラッグ(基本)に位置づけられ、リウマチ医が最も頻用している抗リウマチ薬です。用量依存的に効果を発現しますが、副作用も出現する頻度が高くなります。肝機能異常、口内炎、嘔気などの消化器症状、骨髄抑制は用量依存性の副作用であり、葉酸(フォリアミン)の投与により改善するケースが多く認められます。これらの副作用の初期症状は血液検査を行わないとわからないものもあり、月1回程度の外来受診・検査が必要です。
関節リウマチ治療に当院で主に用いられている抗リウマチ薬
商品名 作用 主な副作用
シオゾール 皮膚炎、たんぱく尿、口内炎、白血球減少、血小板減少など
リマチル 皮疹、口内炎、胃腸障害、肝・腎障害、血液障害など
アザルフィジン 皮疹、肝障害、血液障害など
ブレディニン 皮疹、胃腸障害、肝・腎障害など
アラバ 肝・腎・骨髄障害、間質性肺炎など
リウマトレックス メトレート 皮膚炎、口内炎、肝・腎・骨髄障害、間質性肺炎、リンパ腫など
プログラフ 消化器症状、肝・腎障害、糖代謝異常、間質性肺炎など
生物学的製剤

生物学的製剤とは最新の遺伝子工学技術を駆使して開発された新しい薬で、関節リウマチにおける炎症や痛み、腫脹、骨・軟骨破壊を引き起こす原因となる物質を抑制することにより、関節リウマチを寛解状態に導き、骨軟骨破壊の進行を抑えるまたは遅らせることができる可能性が最も高い薬剤です。日本はもちろん、欧州や米国のリウマチ学会でも、MTX治療で効果不十分であるならば、次の一手は生物学的製剤併用が推奨されています。最近の各種報告では関節リウマチ患者様全体の20%程度に使用されているとされますので、MTXで効果不十分の方に限ってみるとかなりの頻度で生物学的製剤が使用されていることになります。しかし、免疫抑制作用が強いため、投与中肺炎や結核などの感染症への十分な配慮が必要です。最近ではB型肝炎再活性化による劇症肝炎も問題になっています。従って血液検査やレントゲン、CT検査で投与前に十分な感染症の検査をしておくこと、適切な間隔での定期的な外来受診が非常に重要です。

また、不応例・効果不十分な症例があること、治療費が高額であるために全ての患者様が安全に治療されるものではないことに注意しなくてはなりません。近年は使用できる薬剤が8種類と多くなっており、徐々に薬剤の種類によって効果のある患者様の傾向・副作用頻度などの違いが明らかになってきています。自分に最も適した薬を選択し、安全に投与を受けていただくために最新の知識に精通し、生物学的製剤の使用に慣れた専門医による治療が望まれます。

当院で使用可能な生物学的製剤一覧
商 品 名 レミケードIFX エンブレル:ETN ヒュミラ:ADA シンポニー:GOL シムジア:CTZ アクテムラ:TCZ オレンシア:ABT ゼルヤンツ:ZEL
発売年 2003 2005 2008 2011 2013 2008 2010 2013
投与法 点滴 皮下注
自己注
皮下注
自己注
皮下注 皮下注
自己注
点滴
皮下注
点滴
皮下注
内服
投与
間隔
4-8週 0.5-1週 2週 4週 2週 点滴4週
皮下注2週
点滴4週
皮下注1週
1日2回
標的TNF IL-6 T細胞 JAK
増量 不可 条件付き 不可 不可 不可 不可
MTX
併用
〉6mg 原則
併用
併用が望ましい
関節内注射
局所的な関節の痛みに対してはステロイドやヒアルロン酸の関節内注射が有効です。ただし効果が限定的である事、骨軟骨破壊抑制効果・軟骨再生能力を持たない事、関節内に異物を注入するのでまれに感染を起こしてしまう事があるので注意が必要です。特に効果が十分でない場合、頻回の関節内注射は控えるべきと考えます。
サプリメントについて
現在リウマチの治療に推奨されるべきエビデンスのあるサプリメントは存在しません。MTX投与中の葉酸を含むサプリメント摂取は効果減弱につながるため避けるべきです。サプリメント全般に抗リウマチ薬との相互作用についてはまだまだ分かっていないことが多いく、継続を希望される場合は主治医と相談のうえ慎重な投与が望まれます。

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手術療法

手術療法は、適切な薬物療法やリハビリテーションを行っても痛みが軽快しない場合や、関節障害のために歩行が困難になったり、物が持ちにくくなったり日常生活に支障が出る場合や、放置しておくと感染などの有害事象が生じてしまう可能性があったり、審美的な理由から必要になることがあります。リウマチ患者様に行われることが多い手術について説明します。

滑膜切除術
炎症を起こして腫れた滑膜は、痛みの原因になります。滑膜切除術は、この痛みの原因となる滑膜を取り除くことで症状を改善する手術です。術後は腫れや痛みが改善するので、薬の量を減らすこともできる可能性がありますが、長期的には再燃する可能性もあります。膝・足関節・肘関節・手指関節に対して行われることが多いです。
人工関節置換術
関節破壊が進行した関節を人工関節に置換して関節機能を再建する手術です。当院では膝関節をはじめ膝関節・股関節・足関節・肩関節・肘関節・手指足趾関節など全身の関節治療に対応可能です。
関節固定術
骨切り術や人工関節置換術での対応が困難な場合、固定してしまった方が日常生活を送る上で長期的には有利な場合関節固定術を行うことがあります。足関節・手指足趾関節・膝関節・股関節・手関節などに対して行われる場合が多いです。
機能再建手術:足趾の再建
関節リウマチによる足趾関節炎が長期にわたると、外反母趾や内反小趾や鷲爪変形や足趾の重なり、偏平足などが生じることがあります。それに伴って胼胝・鶏眼形成が生じ、痛みや感染の原因になる事があります。それに伴ってこのようなこのような足趾の関節に対して関節形成術を行えば足趾の変形を治すことが可能です。また変形の程度によって術式は異なりますが、以前は全例関越切除術を行っておりましたが、近年ではリウマチのコントロールが可能な患者様が多くなってきており、寛解状態に導く事が出来る例が増えているので、できるだけ関節を温存した中足骨短縮骨切りによる足趾の再建術を積極的に勧めています。
機能再建手術:手の再建
関節リウマチによる手指手関節炎が長期にわたると、手指の尺側変位やスワンネック変形などを生じ、さらに伸筋腱断裂を生じた場合食事・筆記などの動作が困難になることがあります。そのような場合、伸筋腱再建術、手関節形成術、関節固定術、人工関節などを組み合わせて行うことによって手指・手関節の機能再建を行うことがあります。当科では手術の適応があると判断した場合、近隣の経験豊富な専門医に紹介させていただいております。

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